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■ 離婚事件 |
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離婚事件の増加 〜離婚率・離婚頻度の上昇 |
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離婚事件も、平成15年が28万3,854組、平成16年が26万7,000組とやや減少したものの(厚生労働省大臣官房統計情報部平成16年「人口動態統計の年間推計」)、2〜30年前と比べると離婚率は格段に高い状態で推移しています。
生活習慣、雇用慣行の変化、男女の平等・機会均等、高齢化社会となって健康で余裕のある親世代の援助が期待できるといった社会事情の変化、それらと表裏をなす意識の変化によって、バツイチ・バツ2などと明るく軽く口にされるようになり、離婚の持つ意味合いはずいぶんと変わりました。また、熟年離婚の割合が高いことは10年くらい前から言われています。きおのあたりは、ネット上にさまざまな統計資料がアップされていますので、ご覧になってください。 |
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離婚は結婚の○倍のエネルギーが必要?! |
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かつては「離婚は結婚の3倍のエネルギーが必要」だと言われていました。しかし、実際は100倍くらい大変な事件と結婚ほどのエネルギーも必要なく淡々と離婚できてしまう場合もあります。
紛争になってくると、一概に「結婚の○倍」大変だなどとは言えませんが、相当に参ります。精神的にも経済的にもキツクなります。
生活の劇的な変化、子どもの養育、慰謝料、財産分与の離婚に当然伴って発生する問題、元配偶者からの嫌がらせ、暴力やストーカー行為などの派生的な問題等、これでもかとやってきます。
法律がこうだからと杓子定規で簡単に決まるような問題以前の事実関係の争いや身体の安全の確保・精神的苦痛の緩和といった点が重要になってきます。 |
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離婚弁護士はいる?? |
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テレビでは天海祐希さん演ずる離婚弁護士がかっこいいんですが、実際にはわたしのまわりには離婚弁護士はいません。
ぱっと思いつくのは、離婚に関する著書・論文が多数ある野田愛子先生くらいでしょうか。わたしは残念ながら面識はありませんが、ご著書と弁護士会での講演等でしばしばお話にはふれさせていただいています。本当に離婚弁護士と呼ばれるにふさわしい能力とお人柄ではないかと思います。
ただ、一般には離婚専門の弁護士というのは聞かないですね。
それはなぜか。
「離婚事件が得意だ」と言うと、以前だったら「結局なんにもできないし、なんでもやるってことじゃないか」と年配の偉い先生方から言われたものです。
要するに、弁護士仲間の間では、「離婚はありふれた事件で、法律的な争点は少なく、離婚のテキストをひととおり理解していて司法試験をパスしてる弁護士であれば誰でもできる事件であって、それを専門にやっているということは法律知識、法的スキルの分野での向上心に欠ける弁護士だ。」、と言われてしまうのですね。
しかし、昨今はどうでしょうか。世の中に同一の紛争はなく、容易に解決できる事件は少ないです。それぞれの当事者はネットや本で勉強して(必ずしも正確ではないようですが)知識も豊富です。折り合うことは難しくなってきています。だから弁護士のところに相談に来られ、裁判所のお世話にもなるのです。たとえ、法的争点が多くはなくても(先の野田先生はその争点全てにおいてリーダー的存在といえるかも知れませんね)、和解交渉テクニック、事実の発見に対する情熱、証拠の収集能力、時間を費やし熱心に依頼人や事件関係者の話を聞く忍耐力の有無や程度で結果は変わってくるのではないかな、と思います。少なくとも、依頼する側としては、弁護士との相性や弁護士の事件処理の仕方、言動次第で安心感も変わるはずです。
ですから、あなただけの離婚弁護士はきっとどこかにいるはずです |
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離婚手続の実際 |
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離婚は原則として調停をすることになっています。調停とは、お互いが裁判所に出頭し、離婚事件の場合は男女ペアの調停委員にそれぞれの言い分を聞いてもらい、話し合いで解決をしようというものです。この調停をまずしなければならないことを調停前置主義といいます。それは、離婚は、本来裁判になじみにくい問題だから、できるだけ話し合いで解決するのがベターだという理由からです。
実際、当事務所では90%以上の離婚事件について調停を経由しています。
調停の良いところは、話し合いによって不動産、預貯金、家具類等の財産の分配(財産分与)、子どもの親権と面接交渉権その他先々の細かい取り決めまで一挙になしうるところにあります。また、訴訟では認められにくい有責配偶者からの離婚申立も躊躇なく行えます。
(もちろん、有責配偶者、相手方にさしたる落ち度が証明できないような場合も、事情により裁判を提起できます)(有責配偶者からの申立の場合、相手方の同意を取り付けるために、十分な補償が必要になります)
ただ、調停前置主義の例外として、調停をしないでいきなり裁判を提起することができる場合があります。
相手方が行方不明の場合にはいきなり裁判が可能です。当事務所でも、外国人女性と結婚されてしばらくは幸せに暮らしていたのに、奥さんに失踪されたというケースでいきなり裁判を提起し、無事離婚できました。このほか、相手が話し合いに応じないことが明白な場合(DV事案、相手が精神障害により意思能力のない場合)も同様にいきなり裁判を提起できます。
一般には、調停をしてもどうしても話し合いがまとまらない場合にはじめて裁判に移行します。 |
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調停の実際 |
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調停は、裁判所備え付けの書式かあるいは法令規則に則った事項を網羅した調停申立書を裁判所に提出して申立が受理されて手続が開始されます。
第1回の調停期日は、申立が受理されてから1〜2か月後に指定されます。
裁判官は調停の話し合いには参加せず、男女ペアの調停委員が申立人と相手方から交互に話を聞いていきます。
それぞれは、待合室(申立人待合室、相手方待合室にわかれています)で名前を呼ばれるまで待ちます。その光景は、どこかの医院の待合室で順番を待つ患者さんのようです。
待合室内では相手方とハチ合わせすることはありません。ただ、相手方が暴力的な人の場合、乗り込んでくることも考えられます。そういった場合には、予め裁判所の職員に連絡しておくと、警護をつけてくれたり、待合室ではなく別の隠し部屋で待つとか隠し部屋に調停委員の方が来てくれたりしてくれます。
当事務所でも、DV(ドメスティックバイオレンス)の疑いのある離婚事件ではとても気を遣います。ある事件では、事務官とわたしがまるでSPのように女性に張り付いて移動したこともありました。
調停委員は学識経験豊かな男女がペアで担当します。実質的には無報酬の奉仕であると聞いています。わたしは、駆け出しのころ、ずいぶん手慣れた調停委員の先生から、説得の仕方、相手方との駆け引き等、学ばせていただきました。殆どの調停委員の先生は立派な方で、永年任にあたっておられる先生方のどなたにお目にかかってもご担当いただいた事件での印象的なやりとりが浮かんできます。
ただ、これまでにたった1件ですが、ある田舎町に出張した際に当った調停委員の先生に驚かされました。離婚後の処理についての話し合いを求めた調停だったのですが、男性調停委員は、第一声で、わたしの依頼者である女性に向かって「あんたねぇ、申立書を読ませてもらったけれども、あんたが悪いわ。女がある程度がまんせな物事はうまくいかん。」と言うのです。わたしは、唖然としたのですが、ここで黙っていては弁護士ではありません。即座に口を挟みお言葉を撤回していただきました。よく話をしてご理解いただき、こちらの依頼者の希望に沿った解決が出来て安心しました。(実は最後までけんか腰だったらどうしよう、調停委員を忌避しようか、とか不安もありました)
調停委員の先生方は、文書はよく整理された弁護士関与で作成されたものを好み、口頭での説明は直接本人からされることを好みます。ですから、まずは弁護士に一言断りを入れてから、直接本人に語りかけて質問されます。弁護士を依頼されている場合は、予め弁護士とよく打合せの上、想定される質問にどう答えるか決められておかれたほうがよいでしょうね。
調停はこのように学識経験豊かな調停委員が間に入ってくれますので、必ずしも弁護士を立てなくても大丈夫です。まずは独力でやってみて、不安になったら弁護士に相談されてもよいでしょう。ただ、DVがからんだ事件の場合や財産分与で熾烈な争いをすることが予想されるような場合には、初めから弁護士を頼んだ方が安心です。
調停は話し合いの解決を目指すものですから、どうしても話し合いがまとまらないときは訴訟に移行します。
訴訟になったら技術的な問題もありますので、弁護士を立てるかどうかは別として、弁護士会の法律相談に行かれることをお勧めします。弁護士を立てなくても十分かどうかを知るだけでもメリットがあります。事案が簡単で証拠が十分で本やネットで勉強を積まれている方ならば弁護士抜きで独力ででもよいでしょう。 |
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その他注意すべきこと |
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離婚事件では、夫婦の問題ということもあって、証拠が残っていない場合が少なくありません。しかし、調停でまとまらず、裁判となった場合、良い判決をもらおうと思ったら証拠が不可欠です。
たとえば、不貞(不倫)を理由に離婚し、慰謝料を得たいと思った場合、携帯メールだけでは内容如何によっては逃げ切られてしまうことがあります。ラブホテルの領収証や割引券などがあったら保存しておく、相手が認めたのなら一筆とっておく、録音するなどもよいですが、一番は興信所(探偵)を使って動かぬ現場を押さえることでしょうね。ただ、探偵の国家資格はありませんから、探偵の能力はまちまちで、しかも報酬もまちまちです。興信所(探偵)のHPなどでよく調べ、電話をかけて話をしてみたり、訪問相談して見積もりを出してもらう等して納得できるサービスを提供してくれそうな興信所(探偵)に依頼しましょう。
それと、DV被害がある場合、警察や都道府県ないし市町村の女性センター、NPO法人等に相談し、援助を受けるようにしてください。 |
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